おかえり、きぼう(はやぶさじゃなくて)。

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    昨年夏に幕張メッセで行われた宇宙博2014で展示された等身大「きぼう」模型を弊社で作製させて頂いたのは
    過去にこちらで紹介させていただきました。


    その「きぼう」がさる6月、日本の宇宙開発のご本尊であられるJAXA、筑波宇宙センターにある展示施設で常設展示
    されることになりました。


    「きぼう」だけではなく過去に活躍した衛星など貴重な展示が盛り沢山です。


    最近も、高画質の気象画像を提供してくれる「ひまわり8号」や先月ソユーズでISSへ飛び立った油井さんなど、話題に
    事欠かない日本の宇宙事業です。


    興味のある方は是非見に行ってみてください。

    筑波宇宙センター、展示館リニューアル=本物に近い「きぼう」登場

    メイキング オブ 「きぼう」.2

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      イベントオープン日より10日前の7月8日、我が工場より分解された「きぼう」の第一便の旅立つ時がきました。
      本物はつくばからヒューストンをへて宇宙ですが、こちらは海老名→幕張です。それでもこの90キロは私たちには遠く、その間のトラック輸送も積み方一つで大惨事になりかねません。一つ一つのパーツをどう運ぶべきかその都度、ドライバーさんと話しながら積むのです。
      次の日から本格的な設置工事が始まるのですが一度に運ぶのにはパーツ数が多過ぎです。その日の作業に合わせた配分で、4日間に分けて運ぶことになりました。
      クレーン付きの20トントラックを一日4、5台手配し、延べ18台分にもなりました。今まで一度にこの規模のトラックを手配するのも初めてです。
      しかもこの期間に台風が日本列島を通過するという事態になり、関東直撃の前日はドライバーさん達に無理を言って前倒してもらうため、一日に二往復してもらう事もありました。



      そのおかげもあり、順調に輸送は行われ、最後の便が着くころは本体の組み立てが終わっている位でした。

      初めてと言えば、私たちの作業のためにクレーン車を手配するということもありました。今までユニック車をレンタルすることはありましたが、保管室を「きぼう」本体の上に乗っけると高さが9メートル弱にもなり、吊りしろを考えるととてもユニックでは対応できず、それで建築現場で見かけるようなクレーン車と専門のオペレータさんにお願いしたのです。そしてそれが今回の現場作業の一番のハイライトでもあります。それさえうまく行けば後はなんとかなるのです。

      プロのクレーンさばきと私たちスタッフの連携プレーで「きぼう」本体の組み立ては順調に進み、問題の保管室に差し掛かりました。
      ミッションはこうです、保管室パネルは下にあるうちに全てを組み立てた後、吊り上げる。吊った時に方向転換が出来ないので、設置場所に下ろした時に正しい方向になるように向きを考えて吊り上げる事。会場中央の天井の梁が邪魔をしてクレーンを思うように動かせられないのもネックでした。

      それと海老名工場では屋根の高さが足りず、全てを組み立てることは出来ませんでした。なので誰も完成形を見たことはありません。誰も想像出来ない様な、全てが備わって始めて出てくる問題もあるかもしれないのです。

      現場にいた誰もが緊張しました。こういう時、人は日ごろの行いの良し悪しを考えてしまいます。今までの自分はバチあたりの人生ではなかっただろうか…最先端技術の賜物の祭典で神頼みです。










      結果としてこのスタッフに極悪人はいなかったようです。一発OKでした。これからも清く正しく慎ましく…

      この後は船外実験プラットフォームと本体、実験装置機がロボットアームで繋がり、他の細かい部品、展示のための仕上げがなされました。多少の作業の前後もあり、引渡し日ギリギリまで作業をしましたが大きな問題はありませんでした。





      気がつけば他の展示もすっかり完成していました。現場に入った頃はまだ何もなかったのに。そして現場最終検査時には片付けも終了し、ご指摘もなく全員で気持ちよくメッセを後にすることが出来ました(そもそも何か問題があればここに誇らしく書けません)。

      弊社では前例もないほどの大きな規模で初めての事も多いなか、無事に終えることが出来たのは色々な分野で関わって頂いた多くの協力会社の皆様おかげです。
      一つの物件でこんなに沢山の方との連携は記憶にありません。弊社HPの隅っこではございますが感謝の意を込めて以下に書き出させて頂きます。

      林鈑金様、ガガンボ様、山下鈑金工業様、グリップ様、重田工芸様、スタジオバニマ様、ハマキョーレックス様、ニッコー様、青木重機様、長棟様。

      本当にありがとうございました。

      こうして振り返ってみると、また同じ規模のものを作れと言われたら怖いような気もしますが、自信にもなったので先ほどの皆様がいれば次の新たな物件もまたなんとかやれると思います。今後ともよろしくお願いします。

      …え!メッセ撤去もあるの?

      メイキング オブ 「きぼう」.1

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        幕張メッセで開催中の宇宙博、会場中央に存在感をギラギラさせている「きぼう」日本実験棟。
        前回ここでその実物大模型を弊社で作らせて頂いたことを発表しました。

        今回はその製作の裏側を一部、ご紹介していきたいと思います。
        宇宙開発において様々な部品が希少で高品質な材質を取り入れているのに対し、海老名産の「きぼう」は手に入りやすい身の回りにある物で出来ています。
        何を何で作るかを考えるのは製作において大きな要素の一つです。これを読めばあなたにも「きぼう」が作れる!

        製作のお話があったのは一年前になります、その時点でそれを実現するには今の工場だけでは狭すぎて別棟を設ける必要がありました。
        だからまず始めにしたことは物件探しからでした。丁度近くに充分な大きさの倉庫が空いており都合よく目の前にはお付き合いのある運送会社もありました。
        メッセへの運送もスムースに出来ます。これで製作環境に無理なく作ることができる!と幸先よく契約したのですが、それでも工期後半ともなると作ったものが増え、結局は二つの工場とも手狭になり作業スペースの確保に苦労しました、まあいつものことですが。

        企画、設計が進められ本格的に製作に入ったのは今年に入ってからです。作るものを大まかにいうと、本体実験棟は、フレーム、外装パネル、床、実験ラックと、右舷部にあるエアロック。それから保管室のフレームとパネル。
        船外実験プラットフォームは本体と実験装置の箱、ロボットアーム、「きぼう」本体とを繋ぐ結合機構(EFBM)でしょうか。

        それらをトラックで運べるサイズに分けることが出来、現場の組み立てが容易に行える使用にしなければなりません。設計はそこまでを踏まえます。

        製作は、弊社でも過去にないほど長い半年ほどの工期のなかで、それらを同時に作るというよりは全員で一つの作業にとりかかり、それを終えたら次のものへと移っていくという形になりました。
        その一連の作業のなかで作業の大半を占めた業務が幾つかあり、それで大まかな区分けが出来ます。

        名づけて…
        外装パネルリベット打ちまくり期、
        実験ラック樹脂板切りまくり期、
        船外実験装置白い布貼りまくり期

        そのどれもが気の遠くなるような分量です。スタッフの忍耐力が試されました。

        これから主な作業を語っていきたいと思います。
        始めに外装パネルリベット打ちまくり期。
        見る人に「きぼう」と認識してもらうには外装のディテールが命です。パネルの材質は軽くて加工のしやすいアルミ複合版を使いました。表面がアルミなので実物と同じ印象です。
        実物にはあるパネル自体の強度を出すためのリブ加工(パネルについた線状の突起)が技術的に表現出来なかったので、この内部構造物とパネルを固定するために使われたであろう無数のリベットの点線は表現として必要不可欠でした。そうです、ゼロ戦だって船だってこのリベットの点々さえ付いていればリアリティが増すのです。



        実物と同じ区分でパネルを切り出し飾りのリベットを打っていきます。本体、保管室合わせて270を超える枚数に、多いもので一枚310個のリベットを打ちます。
        下穴を空け、表から玉を差込み、ピンをかしめ器具で引っ張ると板の裏側にこぶがつくられ固定する、ブラインドリベットを使いました。ピンはかしめた後、切り取られるので
        作業のあとピンが残ります。終ってみれば2万5千個をかしめきり、一斗缶いっぱいのピンゴミ。ここまで溜まるとピンの再利用を考えてみました(まとめて剣山、数個をくっつけて巻き菱?)が現実的なものが思いつかず、結局は産廃へ。



        その後、鉄工所に外注していたフレームに取り付けていくのですが基本円筒形ですので大きいパネルは端から付けていけばしなる素材なので問題ないのですが、フレームに固定
        しないパネル、小さい大きさのパネルはあらかじめ丸く、くせを付けておく必要がありました。
        そこで単管パイプ3本でそのパイプの間にアルミ複合板を通すとカーブ状にくせがつくローラー曲げ器を作りました。円筒フレームがない保管室や右舷、左舷等の緩やかな円錐状のパネルはこれで対応できました。時には道具から作る必要があるのです。



        次に実験ラック樹脂板切りまくり期。
        外装が終ると次は内装です、実際のパネルの区分に合わせ輪切り状にフレームを組み立てられるようになっていますが、実はその一区分と同じ大きさに左右と天井部(実物は下にも、というか上下のない無重力なので四面)に実験ラックがついています。
        ベース部、左右外装とそれに相応するラック、それと屋根部がくっついて一つのユニットになるようになっています。



        ラックは六つのユニット分のラック、計18個つくりました。それぞれに役目があり、機械を操作したり観測や通信、物資を保管するもの、何もない未使用のラックもありました。表面的ではありますが一つ一つ資料を見ながら再現します。
        実際の写真を見ると配線や装置の一部が通路に飛び出てごちゃごちゃしていますが展示なのである程度は省略し、手に触れない様に前面にアクリル板でカバーしました。
        それでもそれぞれの質感に合わせ様々な材料を細かい形に切り出し張り合わせ再現します。
        ラックをベニヤで箱を作るところからはじまり、先ほどのアクリル、塩ビ、ABS、アルミ等々。
        幾つかのラック、部品は機械加工の出来る会社に外注し、電子制御のレーザー加工された部品などでクオリティの高い仕上がりになっています。
        ハイテクな機材に疎い弊社は、それら同じ作業をジグソーや卓上バンドソーで切り出し、板の小口をサンドペーパーで仕上げるというアナログ作業で行いました。
        どのラックを担当したかは念のため、ここでは申し上げないようにしておきます(そんなに仕上がりに違いはないはず!多分…)。



        そして船外実験装置白い布貼りまくり期。
        私たちが携わる展示スペースで船外実験プラットフォーム始め、「きぼう」本体から外の部分もかなりの面積があります。プラットフォームのまわりには小さい実験機が5つ付いています。それぞれ異なる役目があり、形状も違います。その大部分は箱状の筐体に白い布が覆われています。
        この白い布、実際は中身の装置を宇宙の過酷な熱環境から守る断熱材で、ベータクロスというガラス繊維にアルミ蒸着し表面はテフロン加工した大変高価な布で出来ています。
        今回、その純白で重厚な質感は防炎シートを用い再現しました。このビニールっぽい布、それだけだとただの布なのですがこうしてそれっぽく包むと不思議とリアリティが
        出てきます。ただ、細かいパーツにまで丁寧に被せてあるので大変です。本体箱ものはベニヤ、細かいパーツやロボットアームなどは発砲スチロールで形を作りそれらを徹底的に布で巻きました、幅1,8メートルのロールで100メートルを超える量を使いました。



        布を本体に固定するのに両面テープや釘を使いましたが一部はのりつきのマジックテープを使いました。これは実物の実験機でも大部分で実際にマジックテープが使われリアリティがあるからなのですが宇宙空間にこのおなじみのマジックテープ、なんだか意外な気もしますが実はそれは逆で、宇宙空間での使用に都合がよく積極的に使われ宇宙専用に開発されたりもしたみたいです。

        こうして何度かの検査を乗り越え完成に近づいてきましたが、作りながらあらためて思うことは私たちのこの作業以前に実際に本物が作られていたということです。
        何を当たり前のことを言ってるんだと思われるでしょうが、それこそ前例もなく、成功する確証がない中で、あらゆる問題と可能性を極限まで洗い出し、世界有数の知識を集め計画し、ネジの一つから注意を払い、沢山の人の地道な努力、私たちとは比べられないほどの気の長い作業をへて無事、宇宙に旅立っていったということです。
        完成までにクリアしなければならない星の数ほどの項目がどれも確かに人の手によって対処されたのです。それ相応の情熱があれば人の作るものに不可能などないのだとリベットや防炎シートを扱うたびに、その偉大さを思うのでした。

        とはいえ目の前の仕事です。さあ、いよいよ現場設置です!続きます。



        重大発表!

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          去る7月19日から9月23日まで幕張メッセで行われた宇宙博。
          人類がいかに宇宙に思いを馳せ、今までどんな活動をし、今後どうなっていくのかをNASA、JAXA公認の品々で体感できる、今年の夏の一大イベントでした。

          宇宙博公式ホームページ
          http://www.space-expo2014.jp/


          数々の貴重な実物展示も豊富で宇宙開発技術の一旦を垣間見る事が出来ますが、実物を忠実に再現した模型展示も見所のひとつです。

          なかでも実物大スケールの模型が幾つかあり、火星探査者キュリオシティ、小惑星探査機はやぶさなど、
          これらが宇宙の遥かかなたへと運ばれ、見事コントロールされ活躍したのだなあと、実際の大きさを感じる事でその凄さが分かるようになっています。

          さて、なぜ私が見てきたかのように語れるかというと、このイベントの一部の設営に関わりオープン前に横目で実際に見ることが出来たからです(決して自分の仕事をサボって見ていたわけではありません!)。

          さて、私たちが何を作ったかというと、その中でも最大級の展示物である、ISS国際宇宙ステーションにつながる日本実験棟、「きぼう」の実物大モデルです。



          直径4.5メートルの円筒形を横に8メートル伸ばした実験棟に、保管室としてさらに円筒が垂直に4メートル弱上方向に付いた基本構造、そして船外実験プラットフォームと実験装置が付属しています。実験棟内部に並ぶ各実験/システムラックも再現しました。


          今回の展示物のなかでも目玉の一つではないでしょうか。今後弊社の作ってきたものの中でも代表作になることは間違いありません。

          …というものの、弊社もこの規模の造形物をまるまる携わるのは前例がなく、様々な分野の業者さまの協力と、弊社スタッフの長期に渡る地道で地味な作業から、ハードで危険な作業を、充分に練られた計画と、時々一か八かのぶっつけ作業のもと、なんとか完成にこぎ付ける事が出来ました。

          何をどう作ったかは今後、機会あるごとにご紹介していくとして、皆さんは宇宙博をご覧になったでしょうか?

          特に宇宙開発に日本人がどう関わってきたかが、模型ではありますが実物大の「きぼう」に入ることでより実感出来るかと思います。
          地上はるか上空を周遊するISSに、日本で作られたこの大きさの円筒が今もなお、しっかりくっついて活躍しているということが体験できたかと思います。

          その誇り高き日本の技術に感動して…

          この模型、本物の開発に携わった人でなければディテールの違いなんて気付かないハズ…

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